間伐材マイスターの徒然記

『新生産システム』 と 『2ちゃん製材所』 の違い

機会があって、愛媛県久万林業地域2つのタイプの製材所を1日で視察して来ました。
あまりにも対比が激しすぎて、すぐにはコメントを書くことができませんでしたが、頭の中を整理できたので書いてみました。

久万広域森林組合 父野川事業所全景(HPから)

久万広域森林組合 父野川事業所全景(HPから)

「国産材を使おう」という気運の中で、『新生産システム』といわれる「大規模製材工場」が国内11カ所に設置され、またこれらに追随する製材工場の建設や計画が増えています。

久万広域森林組合 父野川事業所 うず高く積み上げられた製材済製品

久万広域森林組合 父野川事業所 うず高く積み上げられた製材済製品

久万広域森林組合 父野川事業所の主要製品群

久万広域森林組合 父野川事業所の主要製品群

一方、「2ちゃん製材」「家族経営」ながら、地域に密着しながらしぶとく生き残っている製材所も多数あるように思われます。

2ちゃん製材工場全景

2ちゃん製材工場全景

住宅着工戸数の長期トレンドが右肩下がりになることを考えると(※下記参照)、木材の使用比率が大幅に上昇しない限り、木材総需要が増えることはないので、どちらにしても「どのように生き残るか?」を考えるしかないような気がします。

人口減少が始まること。加えて「消費税引き上げ前の駆け込み需要や補助金・税制政策に伴う一時的な需要喚起を除いた長期トレンドで考えた場合が前提。一時的な需要拡大の場合、その反動の需要減の期間を乗り越えるのがより一層困難になるケースが多いと推察しています。

一般的には、量産住宅用の基幹部材を大量に生産する「大規模製材工場」が行政やマスコミの受けがよく、注目されることが多いように思いますが、「間伐材マイスター」は小さいからこそしぶとく生き残れる「2ちゃん製材」「家族経営」の方に軍配を上げたいと思っています。

2ちゃん製材の様子

2ちゃん製材の様子

弊社のように、「家族経営」の域を少し出た程度の製材所の場合は、人件費等の外部流出が少ないので、「取引先の大幅な減少がなければ、なんとか生き残れるのでは……?」と甘い見込みをする一方、「大規模製材工場が生産能力に応じた需要を創出できなくなかった時、どうなるのだろうか?」と考え込んでしまいました。

2ちゃん製材工場の製品在庫

2ちゃん製材工場の製品在庫

加えて、地域に根差し、、「木の特性を生かした」家づくりを支えるのは、「地域密着型の製材所」のはずであり、その伝統の継承を続ける大切さを再認識したところです。

弊社自体が「家族経営+α」の小規模製材所なので少し依怙贔屓かも知れませんが、1日に2つの製材所を見た感想を記載させて戴きました。