間伐材マイスターの徒然記

「裏山の所有林の木」で「地元の大工棟梁」による家づくり

5月4日の快晴の日、両親を含めて一家総出で新築普請の手伝いに出かけました。

母方の親戚が約1世紀半ぶりに母屋を建て替えることになったが、この普請が「裏山の所有林の木」で「地元の大工棟梁」による家づくりです。

新築普請(初日の最終工程)

新築普請(初日の最終工程)

 使用する木材は、施主宅から約500mしか離れていない裏山で育ち、約1年前から計画伐採した木が約8割を占め、素材生産や製材作業も地元業者が担いました。加えて大工棟梁も近くに住む施主の親戚筋と、すべてが地元密着に徹した普請でした。

当地のような木材産地でもハウスメーカー系の住宅が増えつつある中で、地元の業者に最大限に仕事が発注される「地域経済に貢献する住宅つくり」でもあったように思われます。

普請は、朝8時前に施主から棟梁や手伝いの大工に安全祈願の振る舞い酒が施され、1番柱がつり上げられて始まりました。

次々と柱が立てられ、刻まれた接続部が木槌の音とともに堅固に組み合わされる様子を見ていると、職人の技術に感動するとともにこの技術が失われつつあることに少し悲しさを感じつつ、次に組み上げられる柱の準備を手伝ったところです。 

新築普請(初日前半と丸桁)

新築普請(初日前半と丸桁)

田舎の新築普請の最も良いところは、普請の手伝いに親戚縁者が一堂に会したり、施主の近所や親しい友人からの祝いの訪問があることです。また、休憩時の接待や豪華な昼食に加え、夕方には新築祝賀の宴会があることです。 

新築普請(記念撮影)

新築普請(記念撮影)

本格的な普請現場は数年ぶりとのことで、棟梁達は祝い膳を大いに食し、酒が進んだところで祝いの歌も出て、宴会は中締めとなりました。

新築普請(新築祝賀の宴会)

新築普請(新築祝賀の宴会)

今回は、母方の親戚が裏山の所有林と地元の職人たちの技を生かした家づくりを行う機会を得ましたが、このようなケースは今後より一層少なくなるように思われます。

近年では「200年住宅構想」等、住宅の長寿命化に関心が高まりつつありますが、今回のような地元に根差した家づくりが私たち川上の木材関係者が望むところです。