間伐材マイスターの徒然記

『丸柱・円柱巡礼』(第5号) 宮島・厳島神社の大鳥居の修理風景

広島県の宮島・厳島神社に行って来ました。(製材所の親睦旅行かつ木造建造物視察ですが、見学記を兼ねて後日の報告です。)

今年は、NHKの大河ドラマに合わせて「安芸の宮島」に決まり、厳島神社の大鳥居を見るのを楽しみにしていましたが、行ってみると4月3日の暴風により大鳥居の檜皮葺屋根が一部破損したため、2か月間の修理中で大変残念でした。
修理中の大鳥居を見る数少ない機会となりました。)

宮島・厳島神社の鳥居 (連絡船からの厳島神社側を望む)

宮島・厳島神社の鳥居 (連絡船からの厳島神社側を望む)

厳島神社の朱塗りの大鳥居両部鳥居(4脚鳥居)で、その大きさは、高さ16.6m棟の長さ24.2m主柱周り9.9m総重量 約60tで、主柱は樹齢500~600年のクスノキの自然木、袖柱(そでばしら)は杉の自然木だそうです。(宮島観光協会資料、以下同じ)
現在の鳥居は、明治8年(1875年)に再建された8代目になりますが、主柱材料のクスノキを探すのに20年もの歳月を要したとのことです。

宮島・厳島神社 修理中の大鳥居 (海岸側から)

宮島・厳島神社 修理中の大鳥居 (海岸側から)

大鳥居の根本(基礎)は、海中に置かれ自重で立っており、箱型の笠木の中に重しとなる拳大の石が約7t詰められているそうです。
また、主柱の基礎固めには、千本杭[せんぼんくい]の工法が用いられ、45cmから60cmの松杭がそれぞれの柱に約30本から100本打ち込まれています。
基礎固めに松杭が利用されていることは、その強さが認知されているためだと思います

宮島・厳島神社 干潮で海岸に降りて、鳥居を近くで見たり、神社側を振り返りました

宮島・厳島神社 干潮で海岸に降りて、鳥居を近くで見たり、神社側を振り返りました

今回の見学は、ちょうど干潮時になったため、海岸に降りて修理中の鳥居を近くで見ることができましたが、大鳥居が鉄足場で囲まれていたのは少残念に思いましたが、早期に修理が完了して良かったです。(海の中という環境を考えるとやむを得ないとは思いますが……)

宮島・厳島神社の修理中の大鳥居 (修理関係者が鳥居に近づいています) 

宮島・厳島神社の修理中の大鳥居 (修理関係者が鳥居に近づいています) 

前出の「伏見稲荷大社の鳥居」のブログの際には、鳥居に木製の足場丸太を掛けた写真を入れました、鳥居の間隔が狭く、隣接する鳥居を傷つけないよう配慮している点は、鳥居を設置する職人の思いやりだと思いました。

「伏見稲荷大社」の奉納鳥居 (再建・修理時には周りの鳥居を傷めないよう「木製の足場丸太」が使われます)

「伏見稲荷大社」の奉納鳥居 (再建・修理時には周りの鳥居を傷めないよう「木製の足場丸太」が使われます)

≪厳島神社・回廊の丸柱に続く≫