間伐材マイスターの徒然記

「木杭(松杭)・木製地中杭(基礎杭)」の魅力

最近、「木材の地中杭・基礎杭(木杭・松杭)」の話題を聞くことが多くなりましたが、少し触れてみたいと思います。

数年前に、東京駅の改修工事東京・丸の内や大阪・梅田の大規模ビル建て替え工事に際して、地中から「木杭(松杭)」が出てきて、またその松杭がほとんど傷んでいなかったことが話題になりました。

東京駅・改修後全景 (旧駅舎の下には約1万本の基礎・松杭が打たれていました)

東京駅・改修後全景 (旧駅舎の下には約1万本の基礎・松杭が打たれていました)

東京駅や大阪駅近くにある古い建物の中には、軟弱地盤の上に構築されている建物が多く、基礎杭として松杭が打ちこまれているケースが多いそうです。
そのため、ビルの改修・建替え工事に際して地中から多くの松杭が出てくることが多いそうです。
(1914年竣工の東京駅では長さ8mの松杭・約1万本が使われ、約100年後の改修工事時に腐りのない松杭が出てきたそうです。)

復元された「三菱1号館」 (こちらの下にも松の基礎杭がありました)

復元された「三菱1号館」 (こちらの下にも松の基礎杭がありました)

また、関西では平成24年11月にグランドオープンした阪急百貨店の旧本館の基礎杭として2,700本の松杭が使われていたそうで、建替え工事に伴い掘り出された「基礎の松杭」が新装となった百貨店の13階のレストラン街に展示され、解説文の銘板も添えられていました。

阪急百貨店(新本館)の13階レストラン街に展示された「旧本館の基礎松杭」

阪急百貨店(新本館)の13階レストラン街に展示された「旧本館の基礎松杭」


 掘り出された「基礎松杭」の横にあった解説の「銘板」

掘り出された「基礎松杭」の横にあった解説の「銘板」

前述のような大型ビルで、基礎杭として再度、木杭(松杭)が使われることはあり得ませんが、小規模な建物では可能性があるのでは……?と思っています。また、土木学会等の論文発表で事例の紹介がなされているようです。

木材業界では、「地盤の弱い地域には『杭屋』が多い」と言われていますが、これらの地域にはまだまだ多くの杭の取扱業者が多いようです。
(弊社は比較的地盤の良い地域に立地していますが、消費地に近い兵庫県にあったため、高度経済成長期に営業基盤が確立したと推察しています。)

 カラマツ(落葉松)・杭用原木 (原木の確保がだんだん難しくなりつつあります)

カラマツ(落葉松)・杭用原木 (原木の確保がだんだん難しくなりつつあります)

しかしながら、「杭材」として好まれる「松材」については、原木の調達が難しくなっており、今後は「杉・桧材」での使用も考慮することが必要と思われます。

 「杉・桧材」の丸棒材 (20cm丸棒・長尺物)地中杭にも最適?

「杉・桧材」の丸棒材 (20cm丸棒・長尺物)地中杭にも最適?

弊社は、水際での使用時に好まれる松杭の取り扱いを継続的に行うとともに、地域産木材(兵庫県産木材)を有効活用できるので、「杉・桧材」の直径15cm以下の小径木だけでなく、15cm以上や20cmを超える中径木・大径木の丸棒・円柱・ロータリー加工機を備えており、今後、需要が見込まれる中・大径木の「木製・地中杭」への対応も考えていきたいと思っています。