間伐材マイスターの徒然記

新カテゴリー「木の文化」 「鯉のぼりの棹(竿)」編

新緑の5月を迎え、弊社加工場の周りの山々も緑がきれいになって来ました。

さて、筆が鈍りがちの「間伐材マイスターの徒然記」新カテゴリー「木の文化」の項目を設けることとしました。

木材を扱う者として、「これこそは『木の文化』だな……」と思う場面が数多くあります。これらについてもブログでも紹介することとしました。

 

その1回目は、5月に相応しい「鯉のぼりの棹(竿)」を取り上げさせて戴きました。

時は少しさかのぼりますが、兄の長男のために創業者の父が所有林から切り出した「杉棹(竿)」の話題です。 

五月晴れの青空を気持ちよさそうに泳ぐ鯉のぼり

五月晴れの青空を気持ちよさそうに泳ぐ鯉のぼり

 

最近は鯉のぼりをあげる家庭が少なくなり、また棹もアルミ製が使われることが多くなりましたが、初孫の誕生を喜んだ父が所有林から切り出し、地元の大工さんと2人で加工・設置したもので、誕生後約5年間、5月に挙げていました。

鯉のぼりの棹には「杉」を使いますが、多くの木の中から真っすぐで先細りの少ない選りすぐりの木を選び、鯉のぼりの長さの約2倍の長さに整えます。 

創業地・岩座神の自宅に揚げられた「鯉のぼり」 創業者の父と兄の長男の2ショット

創業地・岩座神の自宅に揚げられた「鯉のぼり」 創業者の父と兄の長男の2ショット

棚田の中にある茅葺き民家に揚げられた「鯉のぼり」の泳ぐ姿は、「日本の原風景」ともいえる風情で、棚田風景を撮影するカメラマンには絶好のショットだったようで、多くの写真を戴いたようです。

 

以前は、5月が近づくと「鯉のぼりの棹」の注文が結構あり、父と職人とで所有林から切り出して配達したそうですが、ご祝儀のある結構楽しい仕事であったようです。

 

このような「木の文化」といえるような話題が少なくなったことを少し悲しく思いますが、地域ならではと思える話題を提供したいと思っています。